アニサキスは、約1.5㎝ぐらいの糸状の白い寄生虫です。ヒトに感染するのは幼虫で、偶然食べてしまったアニサキスの幼虫が胃に突き刺さることで発症する病気です。
感染源としてアジ、イワシ,イカ,サンマ、ニシンやサケが多く、食後3~4時間して急な腹痛、嘔気や嘔吐で発症するというのがほとんどです。3~4日ぐらいで弱ってしまって、長くても1週間ぐらいで死滅するといわれています。軽い例では自然に治ってしまうこともあり、ちょっとした腹痛ぐらいとか、場合によっては全く無症状で経過することもあります。十二指腸、小腸、大腸のほうに進むと、腸にむくみを生じて、腹痛や腸閉塞の症状を起こすことがあります。
内視鏡でアニサキスを除去すれば、帰宅されるころには症状がなくなります。1度に2匹以上が刺入していることもあります。治療後も症状が改善しなければ、虫体が残っている可能性がありますので、再度医療機関を受診してください。
こうした従来の治療法に加えて、症状緩和にステロイドと抗炎症薬を併用する治療が有効です。アニサキス症は虫体が胃壁に突き刺さることで症状が出ますが、物理的刺激で痛みが出るだけではなく、蚊に刺されたときに膨疹をつくるように、アレルギーの関与もあると考えられています。
まずステロイドと抗炎症薬を併用して症状の緩和を図り、内視鏡的虫体除去術は痛みが落ち着いた後に行うという方法です。この方法は内視鏡的治療が困難な小腸アニサキスにも有効で、薬剤により症状緩和することができます。
除去せずに胃壁などに入り込んだ虫体が死んでしまったあとは、自然に排出されることがほとんどですが、ごくまれに 死滅した虫体を核に腫瘤状になって、手術されたという報告があります。
マイナス20度で24時間以上冷凍、60度で1分以上か70度以上で加熱でアニサキスは死滅します。一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。
イワシやアジを自宅で刺身用に調理するときは、できるだけ新鮮なものを選び、内臓をすぐに取り除いて、幼虫がいないか確認してください。よく噛んで食べることでも、アニサキスによる食中毒を防ぐことができます。