便潜血検査を受けたことがありますか?
これは糞便中に含まれる微量の血液の有無を調べる検査で、大腸ガンを診断する検査のひとつとして行われています。
近年、大腸がんに罹る人は増え続けており、女性における死亡原因のトップとなっています。男性では死亡原因の第3 位で、2015 年には第1 位になると予想されています。大腸がんがあると便ががんの表面をこすって血が混ざることを利用して、便に血液が潜んでいないかを調べます。陽性なら大腸がんかもしれない、という事になります。大腸がんは持続的に出血しているとは限らないので、2 日間の便を1 セットとして実施します。採取方法は簡単で痛みもありません。これまでの多くの研究から、便潜血検査による大腸がん検診は、早期発見そして死亡率の減少に有効であることが証明されています。
陽性(+): 検査上、大腸からの出血が認められた。 ・・・・精密検査(大腸内視鏡など)を行い、出血の原因を確認することが大切です。
陰性(-): 検査上、大腸からの出血は認められない。 ・・・・次回の検診を受けて下さい。
ただし、便潜血検査の結果が100%正しいとは言い切れません。大腸がんではなくても陽性という結果が出る「偽陽性」(ぎようせい)が起きる場合があります。反対に結果は陰性でも、大腸がんが見逃されている「偽陰性」(ぎいんせい)の場合もあります。大腸癌があるかないかを最終的に確定するためには精密検査(大腸内視鏡検査)が必要になります。
便潜血検査が陽性になった場合には、
その原因を明らかにするために、精密検査(当院では大腸内視鏡検査をおすすめしています)を受けることが必要です。病変から常に出血しているとは限りませんので、陽性になった場合に、精密検査のかわりとして便潜血検査を再度行うことは意味がありません。
便潜血陽性で大腸検査を受けたのに、何も異常が発見されなかったが?
便潜血陽性の方から大腸がんが見つかる確率は、2~3%程度です。治療が必要なポリープでも約20%に過ぎません。残り約80%では病的な異常はないのが現状です(便潜血反応が陽性だからといって、全員で大腸がんやポリープが見つかるわけではありません。便潜血反応が陽性になった原因が不明の方もかなり多いのが現状です)。過度の心配をされずに次回の検診を受けて下さい。 便潜血検査で陽性になるのは、検査を受けた人の約7%です。そのうち、本当に大腸がんが見つかるのは、陽性の人の2~3%程度です。つまり陽性の人でも95%以上はがんではないのです。痔や他の病気、あるいは何も問題がない場合が大多数です。お腹をこわしたとか、便秘がちで便が固く、大腸の壁をこすっただけでも陽性になることがあります。しかし、「毎年、便潜血検査を受けていて陰性なので安心していた。陽性になってから検査したら進行癌だった」という方もいます(便潜血検査は少数の進行大腸癌の方を検出しているのが実状で早期の癌は検出されません)。大腸癌は心配だけど大腸カメラは怖いとか、今のところ特に症状がないから検査を受けなくても・・・、という声も聞かれます。しかし、症状が出るころには進行がんであることが多いのが現状です。症状がないからと言って検診をパスせず、まずは便潜血検査を受けてみてはいかがでしょうか。そして、検査を受ける前にその検査の意味を少しでも分かって頂けると幸いです。