顕微鏡的大腸炎と過敏性腸症候群

顕微鏡的大腸炎は難治性下痢を特徴とし、その多くが内視鏡では正常ないし軽度の異常に留まります。
原因として, 免疫異常, 胆汁代謝異常, 腸管感染症, 薬剤などがあげられています。 わが国では薬剤l関連性のものが多く、原因薬剤としてプロトンポンプ阻害薬,非ステロイド性抗炎症薬、 選択的セロトニン再取り込み阻害薬、チクロピジン, アスピリンなどが知られています。
おもな症状は長期間持続する下痢で、あり, 時に腹痛,体重減少,低蛋白血症などを伴います。
顕微鏡的大腸炎の内視鏡所見では粘膜の血管が見えにくくなったり、充血することが多いですが、ほとんど正常と変わらず、組織検査で初めてわかることもあります。
過敏性腸症候群と比べると、下痢の回数が多く、夜間に排便、体重減少などを認めることが特徴ですが、軽症の場合は症状だけで鑑別することが難しいことも多く、両者を鑑別するためには, 大腸内視鏡検査と生検組織の採取が必要となります。
治療:薬剤関連性の場合は原因薬剤の中止で改善しますが, その他は難治性に経過することもあり、止痢薬, サリチル酸製剤, ステロイド, 免疫調整薬などを使用します。

顕微鏡的大腸炎:血管が乱れており、充血しています。