非びらん性胃食道逆流症

 不快と感じる胸やけや胸痛、胃部不快感などの逆流関連症状があるのに,内視鏡検査で粘膜傷害がないものを非びらん性胃食道逆流症と呼びます。

非びらん性胃食道逆流症は胃食道逆流症の60~70%を占め,その40~50%はプロトンポンプ阻害薬と呼ばれる胃酸を抑える薬の内服にもかかわらず症状が改善しません。

原因としては①プロトンポンプ阻害薬による酸分泌抑制が十分ではなく、異常酸逆流を認める群,②食道の知覚が過敏になっており、酸分泌抑制は十分だが、酸以外の液体や空気逆流により症状が起きている群、そして③酸逆流・非酸逆流ともに正常範囲内で逆流と症状との関連も認めない群で、これらには食道の運動障害や好酸球性食道炎と呼ばれるアレルギー性の病気が含まれるので注意が必要です。

治療としては、①の酸分泌抑制が不十分なケースでは、プロトンポンプ阻害薬の種類や、飲み方のタイミングの変更や増量により症状が改善します。②の酸以外の液体や空気逆流ケースでは食道運動改善薬が有効なことがあります。また食習慣が重要で、過食や高脂肪食摂取は逆流の頻度を増加させます. また早食いでは食物とともに空気を嚥下し胃が伸展されるため, 逆流が発生しやすくなりますので改善が必要です。難治性の場合は腹腔鏡下逆流防止術などの外科的治療も選択肢となります。③の食道運動障害のケースではCa拮抗薬や亜硝酸薬などの有効性が報告されています。また最近では好酸球性食道炎というアレルギーによる食道炎が注目されています。副腎皮質ホルモンの内服が有効です。

逆流性食道炎の内視鏡所見の重症度と症状の間には、明らかな相関がみられないことも多く、特に若い人にその傾向が強いです。内視鏡所見が軽微なため、異常なしと診断されていることも多いので、症状が改善しない場合は、専門医に相談することをお勧めします。